第2幕:受け止める人 −忍足侑士−

 

 

 

何やの?……ああ、アイツらの事聞きたいんか。
岳人はええ奴やで。明るいし、真っ直ぐやし。
俺なんかとは全然違う。
中学1年の時に出逢った時からずーっとあんなんやで。
確かに、ちょっとは落ち着きが無いとアカンかなとは思うねんけど……。
多分岳人は小っちゃい頃からあんなんやったんやろな。
めっちゃ簡単に想像つくわ。
くるくる表情が変わってキラキラ光る、お天道様みたいな奴やで?
一緒に居て飽きへんなぁ。
岳人の能力のコトは知っとるよ。
ていうか……教えてもろたっていうのが正しいかな。
モチロン本人からや。
その時からかな、友人っていうよりは……親友、みたいな関係になったんは。
聞かされたきっかけ?
ああ……アレなぁ、ちょっと長い話になるんや。
それはまた後で話したるわ。

 

 

そんで、や。

 

俺もな、実はちょっとしたチカラがあったりするんやけど。
ちょお上手いコト説明しにくいんやけど……岳人が『魂』って呼んでるの、あるやろ?
どうも、その魂ってやつとシンクロしやすいみたいなんやわ。
そんでも俺には、聞こえへんし、見えへんし、祓えへん。
何のチカラも無い。
せやけど、シンクロしたヤツを『感じる』コトができる。
何をしたかったか、とか。
何で死んでしもたんか、とか。
何を探してんのか、とか。
憑かれるのと似たようなモンなんやけど、ちょっとだけ違う。
乗っ取られたりはせぇへん。
岳人曰く、「侑士の方が精神力が強いから」らしいんやけど。
ただ精神力が強いヤツは乗っ取られたりせぇへん代わりに、憑かれたコトも解らんらしいんや。
ほんでも、俺にはそれが解る。
そんて、俺はその魂の想いを『感じる』コトができる。
これが俺の能力や。

 

 

じゃあ、憑いたヤツはどうなんのか。
放っとけば勝手に消えるか出て行くかする。
そうじゃないヤツでも、例えば思い残しを叶えてやれば、消える。
俺が叶えてやれるコトなんてごく僅かやし、そもそも稀なんやけどな。
大体は殆ど前者や。
勝手に消えるのを待つしか無いってコト。
死んだヤツの思いを解ったトコロで、俺には何もできへんのや。
まぁ…それが辛いと思ったコトは何度もあるけど、しゃーないやろって自分に言い聞かせてる。
今まではそうしてきた。
モチロン、親にも友達にもこんなん話したコト無い。
したって解ってくれへんのが普通やし、アタマおかしいんとちゃうかって言われても
しゃあないし……実際、言われたコトもある。
だから、言われへんかった。
言われへんかったけど……それがな、実は。

 

まさか、あんなコトになるなんて普通思わへんよなぁ……。

 

あ、ああ、スマン。ちょっと耽ってもうた。
詳しい話をする前に、もう一人のお天道様の話、せんとアカンな。
いやそりゃもう、誇張でも何でもなくて、氷帝の太陽『跡部景吾』の話をな。
とはいえ、跡部のコトは今更説明せんでも大体知っとるやろ。
あの俺様根性だけは頂けへんけど、今ではアイツも岳人と同じぐらい大事なヤツやねん。

 

 

 

跡部と本当の意味で出逢ったんは、中1の終わりの頃や。
桜が綺麗に咲いとる季節やった。

 

 

……あ、予鈴や。
まぁ、その辺りの話は、また今度な。

 

 

<続>