その視線はたぶん最初から気付いてた。
俺を見るその目が、ときどき跡部が侑士を見てる時のに似てるっていう事も
割と早い段階でわかってた。
だから結構長い時間、それは俺の中で疑問として残ったままだった。
どうして俺なんだ?
ぐるぐるとそればっかり頭の中で回り続けて、その内考えることがヤになって
放棄しちまうんだよな、まぁいいかって。
そんなワケでその謎は今でも解けてない。
解こうという気も、あんまりない。

 

 

 

 

いつだったかそんな話を侑士にした事があった。
珍しい事にその日は侑士以外、周りに誰もいなかったから。
ソファに座ってぽつぽつと思った事を話す俺を、侑士は頷きながら聞いてくれた。
結局結論の無いままの話は、尻切れトンボみたいに終わっちまったけど。
うーん、って唸ってたら、侑士が言ってくれたんだ。

 

「どうしてって疑問はな、岳人一人じゃ答えは出ぇへんで。
 やって、その疑問の中心に居るのは岳人、お前とちゃうやろ?」

 

俺一人じゃ無理なワケ?
それじゃ、この疑問にはどうやって答えを出せば良いんだ??

 

「せやけど………きっと、いつか答えは出るやろ、な」

 

なんだか知った風に笑う侑士は、そんな意味深な事を言った。
それが分かるけれど分からない気がして、だから俺は頷くしかなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

岳人一人称。ヒヨ岳のようでヒヨ岳にあらず。(苦笑)
日記からの再録です。