From: Kiyosumi,S おはよう、って言って笑ったら、 今何時だと思ってるんだ、って手塚に呆れたように笑われた。 ギリギリで食堂に飛び込んだら、 お前の分も取っといたぜ、って向日と跡部が笑って手招きしてくれた。 教科書ありがとうって教室に覗きにいったら、 礼は良いから次から忘れるな、って怒られた。 でも、笑って誤魔化したら、真田も笑って誤魔化されてくれた。 部屋に帰る前に、今日学校を休んでた柳と乾の様子を見に手塚と305号室に行った。 全身筋肉痛?たるんどる!って真田の口真似したら、五月蝿いなって渋い顔をしてたけど、 2人とも頑張ったよね、って言ったら笑ってくれた。 自分の部屋に戻って着替えてから、今度は212号室に行った。 忍足も今日は学校を休んでた。 一応念の為に、もう大丈夫?って訊いたら、もう大丈夫やで、って言って。 笑ってくれたのが、本当に嬉しかったんだ。 皆で頑張って、本当に良かったと思う。 これからも皆で、ずっと笑っていられますように。 |
From: Gakuto,M 絶対、みんな信用なんてしねーって思ってた。 全部解決した今でも、多分きっと信じてくれてる奴の方が少ないんじゃないかって思う。 そう思うぐらい、みんな、俺達に対する態度は変わらなかった。 千石に、キモチワルイとかって思わねーんだな、って言ったら、 気持ち悪い?なんで?って逆に訊き返された。 じゃあ、怖いとかって思ったりはしねーの?って訊いたら、 柳や乾が持ってるデータの方が怖いよって言ってきた。 イヤそれは俺も同感だったりするんだけど。 それもそうだよなーって俺が答えたら、千石が、 霊感なんて持っちゃって、怖かったのは俺達じゃなくて寧ろキミ達の方でしょ? …なんて、笑って言ってくれたから。 不覚にもちょっとだけ泣きそうになった。 大きなリスクを背負ってまで手を貸すなんて、馬鹿のするコトじゃねーか。 そう呟いたら、 だよねぇ。馬鹿ばっかりだよねぇ。 そう、千石が答えて。 だけど、それがイイんだよ。な? |
From: Sadaharu,I 真田が、あの跡部を殴った。 …というのはまぁ、俺達の中でも結構予想外で驚きだった。 けれど確かに目を覚まさせるには必要な事だったかもしれない。 ただ唯一の問題があるとすれば、 真田は自分が正しいと思ってした事は、例えそれが世間一般的にどう思われようが 決して謝ったりしない、という事だろう。 そして深夜、手塚は向日の代わりに忍足についていて、 蓮二と真田と向日は少し眠ろうという事で、ソファで眠っている。 で、寝付けないでいた俺と千石は、非常に不愉快だと表情に出している跡部と 向かい合ってキッチンの椅子に座っていた。 跡部の頬には冷やしたタオル。 もちろん、真田に殴られた方の頬に当てられている。 「……ったく、マジで加減ってモンを知らねぇんだな、あの野郎…」 「あーあー、男前が台無しだねぇ」 「俺は見れなかったけど、さぞかし豪快にいったんだろうな」 「信じらんねぇ……まだ痛むんだぜ?」 「あはは、復讐とか考えじゃ駄目だからね?」 「バァカ、誰がンなコトするんだよ」 千石がふざけて言うのに、跡部が呆れた視線を向けて答える。 「このお返しはテニスでさせてもらうぜ。3倍にしてな」 クックック…と低く笑いながら言う跡部の目は、これでもかという程据わっている。 深く考えていないのか、千石は「わぁ、すんごい健康的〜」なんて言ってるが、 俺はただただ、流血沙汰にならない事を願うばかりだ。 ……彼の繰り出す破滅への輪舞曲が、グリップ以外の場所を狙わない事を祈っておこう。 |
From: Keigo,A 俺は元々、礼を言うのが得意じゃない。 言えないのではなくて、そのタイミングが掴めないんだ。 気が付けば礼を言いたかった事の内容自体、何でも無かったように流されていて。 だからまた、俺は何も言えないでいた。 手を貸してくれた仲間達に対する、深い感謝の念はこれでもちゃんと持ってるんだ。 どうにかしてそれを形で表したいと考えていたところ、岳人が妙な事を言い出した。 あまり気乗りはしなかったが、だがそれもひとつの手なんじゃないだろうかと思って 結局俺も一口乗る事にした。 「起きてるか?」 それなりの体躯を持っている忍足を、2人がかりでとはいえ屋上から落ちてきたのを 受け止めたんだ、こうなるだろう事は大方予想はしていたが、その翌日である月曜日、 柳と乾、それから忍足は、全身の軽い打撲と強い筋肉痛(普段使わない筋肉を酷使 したからだろうと思う)で動くこともままならず、今日1日は安静を取らせている。 午後1時半の305号室、柳と乾が仲良く2人並んで寝たきり状態なのが少し笑えた。 「どうした跡部?」 「お前ら昼メシ、自力でどうにもできねぇだろ?だから持ってきた」 「授業は?」 「1〜2限サボったところで、この俺様がどうにかなっちまうとでも思ってんのか?」 まだ痛そうに顔を顰めながら上体を起こす2人の膝の上に、昼食を乗せたトレーを 置いてやると、すぐに気付いたようで2人ともが不思議そうに俺の方を見た。 「…………もしかして、コレ」 「ああ、手製のようだな……跡部のか?」 「悪いかよ」 「……食えるモノなんだろうな」 「お前、それすっげぇ失礼だぜ?」 「ははは、悪い」 そうやって軽口を叩き合えるのは、今、何もかもが無事に解決できたからであって、 恐らくそれに対する一番の功労者はこいつらなのだろうという事ぐらいは、 この俺だって理解できている。 多分今が、俺にとって最後のチャンスなのだろう。 「柳、乾」 「…ん?」 「何だ?」 「ありがとう」 「………跡部?」 きっと皆が居なかったら、今この瞬間だって無かったに違いない。 その奇跡に対する、最高の賛辞を。 「…ありがとよ、2人とも」 俺たちを、助けてくれて。 |
From: Yushi,O 良く言えば、仲間思いのイイ奴ら。 悪く言えば、お人好しの集まり。 せやけど、こうやって、まるで自分の事のように心配して、怒って、泣いて、 手を差し伸べてくれる奴なんて、そうそう居たりせぇへんよな? それが今、俺の目の前に居る。しかも7人も。 これって、ちょっと凄いコトやと思わへん? せやから、俺は、もっと強くなろうと思った。 こんな優しい奴らの為に。 手を差し伸べて笑ってくれた、皆の為に。 自分の為に、って思うのは限界がある。 絶対にどっかで諦める気持ちが出てくる。 やけど誰かの為にやったら、もっと頑張れると思うんや。 もっともっとと願う気持ちが強うなるんや。 大切にしなあかんモンぐらいは、俺かてちゃんと解っとるんやで? 7つの大事な宝物をずっと手元に置いておくために、 俺は今よりもっと、強くなろうと思う。 |