< Now, the thought is famous to the former glory. >

 

 

 

 

あの日、あの時の自分達は、間違いなくこの山の頂点に居た。
「なんというか……感慨深いな」
「年寄り臭いぞ、弦一郎」
「悪かったな」
柳から痛烈な一言を浴びて、苦笑を交えつつ真田がそう答える。
だが、そう思わせるだけの年月だったと思う。
3年とはとても長いように聞こえて、案外短かった。
「ところで何が感慨深いのだ?」
「今頃聞くのかそれを」
首を傾げてくる柳に、真田はそれに答える事無く笑みを浮かべたままで。
視線を逸らして室内に目をやれば、正月だからと酒を飲みつつ花札を打つ
仲間達が視界に入ってくる。
どんな時も、自らのペースを崩すことの無い、仲間達が。

 

 

「きたきたきたァ!!猪鹿蝶だよ俺ってばラッキー!!」
「そうはさせへんで。ほな俺は花見て一杯、ついでに月でも一杯飲んだるわ!!」
「なあ乾ー、確か青タンって3枚集めたら良いんだったっけ?」
「そうだよ。ああ…でももう5枚集まってるんだったら、いっそ7枚狙ったらどうだい?」
「……………。」
「うわ!!跡部フケ狙いや!!ずるッ!!」
「うるせぇよ、これも立派な役だっつーの」
「地味な役だな、跡部」
「地味だろうが何だろうが、要は勝ちさえすりゃあ良いんだろ、アーン?」

 

 

確かに、あの日あの時の栄光は、間違いなく自分達にあった。
それが今、足元から脅かされようとしているこの、事実に。
「弦一郎、どうかしたか?」
「……いや、何も」
ゆるりと笑みを乗せて首を振る。
どれだけ力を付けても、きっとこの者達は真っ直ぐに追いかけてくるだろう。
もちろん今隣に居る、この男だって。
頼もしい仲間である事は間違いないのだが、逆に彼らは常に自分を脅かす好敵手であるのだ。
そして、彼らにとっては自分も、『そう』であるのだ。
新しい年を刻んだ今、改めて感じるその現実を。

 

「………今年も宜しく頼む、蓮二」

「ああ、こちらこそ、弦一郎」

 

 

光栄に、思う。

 

 

<終>

 

 

短いですが。あけましておめでとうの日に思う、
真田さんの想い。

彼はテニスバカであればある程ヨイ。(笑)

ちなみに花札のルールはやる人によって微妙に違いますので、
私のトコは違うー!という方はご容赦下さいねー。
管理人が実家で花札やるときのルールで書いてますから。(苦笑)