忍足くんといっしょ。

 

 

 

 

 

わ ・ 悪いけど、今日はもう無理やわ

 

い ・ いっつも思うんやけどな (&向日、千石)



相も変わらず忍足はゲームをしている。とはいえ一朝一夕でクリアできるものでは無いのだから
仕方ないといえばそうなるだろう。
新作RPGが余程お気に召したらしい。
今日は、世間的にも有名なあのゲームを一目見るためと、千石と向日が見に来ていた。
そんな中で唐突に、忍足が口を開いて言った事は。



「いっつも思うんやけどな、職業ってあるやろ?
 自分やったらコレやってみたいな〜とかいうの、あらへん?」
「ああー、あるある!!俺いっぺんでいいから剣とか振り回してみてぇ!!」
「こんな世界が本当に存在するなら行ってみたいと思うよねぇ。
 でも現実的に言えば向日に戦士系は無理だと思うよ?」
「えー、なんでだよ!!」
「だって向日、チカラ無いだろ?」
「……うっ、そういう千石はどうなんだよ!!」
「俺?俺はどうかなー、盗賊とかイイなーって思うんだけど。
 一攫千金を狙ってお宝をハンティングするのってどう?」
「あー…なんかソレっぽいよな。想像しても似合いスギ」
「そりゃどうも。真田とかは戦士で充分だし……。
 柳と乾は魔法使い系かな?柳が白で乾が黒。
 まぁ転じて僧侶と魔法使いってイメージだね」
「賢者じゃねーんだ?」
「えー……でもあの2人、アタマはイイけどあるイミ両極端でしょ?
 しかも知識には偏りがありそうだしさ」
「あっはっは、そりゃ納得だな。
 じゃあ手塚なんかどうだよ。なぁんかカタブツそうなんだけど」
「騎士系?ちょっと違う気がするなー……って忍足、
 キミが話振っといて、プレイに夢中になるのやめろよー。
 忍足は何がイイわけ?」
「……俺?そうやなー………商人がええなー。
 世界一の武器商人。あー世界一って響き、ええなぁー……」
「「響きがかよ」」
「そう、世界一の武器商人になって、金を稼ぎまくるねん。
 そうしたら老後は安泰や。ええ夢やろ?」
「なんて現実的な……や、侑士らしいっちゃそーだけどよ」
「つーか、夢のニュアンス履き違えてない?忍足…」
「じゃあ跡部はどうなんだろう……あ。訊くだけムダかも。多分アレだ。」
「あるやん、ピッタリのが。他に考えられへんわ」
「あー…そだな、俺も今思いついちまったよ」
「多分アレだよねー」
「だよな、アレだよな」
「アレしかないやんな」
「じゃあ、せーので同時に言ってみようか」
「おう、きっと被るぜ?」
「ほないくで、せーのォ」



「「「 スーパースター 」」」


「………ホンマに被りよった」



そんなある日の会話。



<終>

※懲りずにDQネタ。でも跡部本人は「勇者」が良いらしい。そんな偉そうな勇者は嫌だ。

 

う ・ うさんくさ〜!絶対怪しいで、これ

 

え ・ えらい仰山買ったなぁ (&乾、&手塚)



「えらい仰山買ったなぁ」
ビニール袋が2つずつ。歩く人間は2人。なので、ビニール袋は全部で4つ。
その中には色とりどりの野菜達。
乾が買い物に付き合って欲しいというので、行ってみれば。
「なあ、これ全部どないするんや?」
「うん?寮母さんにお願いして、食堂の調理器具は借りられる事になってるから、
 そこまで運んで貰えたら有り難いな」
「なんやのん、野菜炒めでも作ってくれるんか?」
ガサリ、と袋を振りながら訊ねれば。



「うーん……もうちょっと楽しくて、良いモノだよ」


なんて、少し浮かれた口調で乾が答えた。
だから、ほんの少し期待して。




「……どうした、忍足」
寮に戻ったら、手塚に出会った。
だから、そのドキドキを少しおすそ分け。
「うん、何や知らんねんけど、乾がええモン作るて言うしな」
そう言って手にした袋を食堂へ足を運ぶ忍足を、手塚が訝しげな表情のまま見送って。



「もしかして……忍足は知らないのか……?」



人畜無害な野菜達が、乾の手によって人畜有害な物質に変貌を遂げた、『ソレ』を。


【明日の部活は……本気でいこう】


絶対に飲みたくないソレを想像して少し身震いすると、手塚は胸の内で固く誓って
何も知らないであろう忍足の背に向け、両手を合わせた。



合掌。



<終>

※明日は阿鼻叫喚。

 

お ・ お前にだけは言われたないわ

 

ん ・ んー、そうやなぁ・・・