小さな島で人というカタチをした生き物は僕一人しかいなかったけど、
だけど、寂しいと思ったことなんて一度も無かった。
『友達』も『仲間』も、たくさんいた。
みんなみんな大好きで、大事なものだ。
けれど一人、たった一人だけ、中でもトクベツな人がいる。
それは小さな島という世界の中で唯一初めての『異彩』だった。
僕が島で生きてきて初めて流れ着いた島の外からの人で、初めての
僕と同じ人のカタチをしたトモダチで、知らないことをたくさん
教えてくれた、オトナだった。
オトナは、めんどくさい生き物だ。
小さなことでぶつかったり、ケンカしたりする。
でもそれと同じだけ、強くて、優しかった。
気がつけばその初めてのトモダチは、自分にとって何よりも
大切な人になっていたんだ。
アイツは、約束した事は必ず守ってくれた。
ひとりぼっちでずっと寂しかったというトモダチを、二度とそんな
思いはさせないと誓ってくれた。
そして何より、きっとまた帰ってくると約束してくれた。
その約束をちゃんと果たしてくれた。
僕にはそれが、何よりも嬉しかったんだ。
だから僕は大切な人を守るためにためらったりなんかしない。
いつだって笑って隣にいてくれた人を、失いたくないから。
そのためにしなきゃいけない我慢なら、どれだけでもしてみせる。
「子供は我慢なんてしなくていいんだ」
アイツはそう言ったけど、そんなことはないと思う。
オトナもコドモも関係ない。
大切なもののために全てをかけるのは、おんなじなんだ。
例え次に目を開けた時、周りに誰もいなかったとしても、
きっと僕は後悔なんてしないだろう。
大事なものを守れたという思いは、どんな辛さにも勝るだろうから。
それに、きっと必ずアイツは僕の前に現れる。
そう約束したからな。
アイツは約束を必ず守ってくれるヤツだから。
だから僕は安心して眠れるんだ。
ありがとう。
オマエは僕の、一番大切な友達だ。
<終>
実際書いたのは一昨年ぐらいのものですww
-20121016UP-