それは、一枚の写真だった。
もう何年も前に撮ったものなのだろうその色褪せた写真の中で
笑っている兄・カールスの顔は随分と若い。
「何してるんだ、クロム?」
「あ、カールス、落ちてたよコレ」
「こら。兄さんと呼びなさいって言ってるだろう」
「はぁ〜い……兄さん」
ポカリと頭を叩かれて、さして痛くも無かったがその場所を
擦りながら渋々と少年は答える。
それに満足したように頷いて、カールスはその写真を手にとった。
「懐かしいな……学生時代の写真だ」
「どのぐらい昔?」
「懐かしいとは言っても……5年ほどだけどね」
「ふぅん…?」
よく分からないといった表情のままでクロムはこくりと首を傾げる。
そして兄の手元にある写真をもう一度覗き込んだ。
ふと写真の中の兄の隣に居る人間に目が留まり、疑問はそのまま口に乗る。
「これ誰?」
黒髪の、カールスよりもやや控えめそうに微笑む、その人間に興味が湧いた。
クロムに問われてカールスが、ああ、と穏やかに笑った。
「コイツは俺の友達だよ。
成績とか、結構張り合ってたよなぁ…。
家を継ぐのを嫌がって、確か今は母校で教師になってる」
「へぇ……」
兄からもう一度写真を受け取って、まじまじとクロムは写真の中で微笑む彼の姿を見る。
よほど興味があるんだなと苦笑を見せ、カールスはそのままその場を去った。
じっくりと眺めた後に、何気なくその写真を裏返してみた。
そこには兄が記したのだろう、走り書きがされていた。
文字は兄が根気良く教えてくれたので、なんとか読める。
『卒業式。
エマタイト・ラムスベックと』
この名は兄のものではない。
という事は、この黒髪の方。
「エ、マ、タ、イ、ト…………エマ、かぁ」
ぽつりと呪文のように呟いて、クロムの唇がゆるりと弧を描いた。
それが、はじまり。
<終>
短い小噺ですが、どうしてもどうしても書きたくなったので。
深夜アニメですが、面白いですクラスターエッジ。
主人公そっちのけでエマと人造人間達に目が行ってます。(笑)
クロム団がとにかく可愛いの!!
とりあえずはクロム→エマな気分。そんな気分。
クロムは写真の中のエマに一目惚れしちゃうとイイです。
そんで、カールスが死んで、実物のエマと初対面するんですよ!!イイ!!(逝け)
現在進行形でテレビ見てるところなんで、かなりの部分が捏造です。
ちなみに補足。
カールスとエマは同級生。
カールスとクロムは血は繋がってないけど兄弟。
カールスとエマは人間。
クロムは人造人間。
気になってしまわれた方は、是非とも土曜日の深夜、テレ東系をチェックしてみて下さい。
1月にはもうDVDの1巻が出るそうです。早ッ!!