<Act.2 ゾロ>
いつからだったかはもう良く覚えちゃいねェが、
ここ最近、ウソップの調子が悪そうな気がする。
いや…気がしてるだけなんだがな、何せ根拠が無ぇモンで。
いつも通り朝起きてメシ食って、遊んで喚いて怒鳴られて殴られて、
そして一日が終わってまた眠る。
まぁ、何も変わらねェ日々だ。
まだ島も見えて来ないからな。
だが……やっぱり何か違う気がする。
違和感があるんだ。
どこがって言われると困るんだけどよ……。
いつも通りルフィ達と馬鹿騒ぎしてるウソップの顔から、
どことなく生気が感じられない…と、いうか。
まァ、言っちゃナンだが、全部俺の勘なんだ。
別にウソップが体調不良を訴えてるワケじゃねェし、
それならそれで、チョッパーも黙っちゃいねェだろうしな。
そういやチョッパーはここ最近……研究がどうだとか言って
部屋に篭りっきりみてェだ。
ま、それならそんなに心配になる事ァねーな。
……なのに何故か、気になるんだ。
「……ウソップ」
名を呼んでみた。
「ん?」
すぐに返事があって、ルフィとじゃれていたウソップがこっちを向く。
まさか聞こえてるとは思いも寄らなかったモンで、半分取り繕うように、
ああ……取り繕うように、考えナシに言ったんだ。
「あんまり……無理してんじゃねェぞ?」
それにほんの一瞬だけ、驚愕に見開いた目が全てを語っていた気がする。
「…何言ってんだ?ゾロ。
無理なんてしてるワケねーだろうが。
変なヤツだなぁ〜〜」
すぐにそれは笑みに変わって、ウソップが俺に向かってそんな事を言う。
そうか……そうくるか。
「いや、それならイイんだ」
俺もそう答えて、船の縁に凭れるように背を預けて目を閉じた。
……それなら、イイんだ。
黙ってるなら、俺も何も言わねェから。
<続>
お前の人生はお前のモンだ。
その生き様は、お前自身が決めればイイ。