一瞬、だけど閃光のように。

それがポップの生き方。



だけど、そのことを知った時から、

それはオレの生き方でもあった。







< Requiem 〜ボクからキミへ〜 >







澱んだ空気の中、空を見上げる。
この場所に、太陽というものは存在しない。
腐りきって濁った、汚れた世界。
それが、いわゆる『魔界』と呼ばれる場所だ。



時々、ふと考えることがある。
どうしてオレはこんな処にいるんだろうって。
どうして、そうまでしてオレは生き続けているんだろうって。
イヤならやめればいい。
命を絶つのは意外と簡単だ。
だけど、あの時のポップの言葉がどうしても頭から離れない。



一瞬、だけど閃光のように。



最後の最後まで、そうやって生き抜いていくんだと。
絶対的な絶望の中でもアイツは、そんな風に言ったんだ。
だから、オレはこんな世界の中でもまだ、生き続けている。
ポップの生き方は、オレの憧れそのものだったから。
せめてアイツに恥じない生き方を、したいんだ。





ああ、だけど。





この世界に、お前はいない。
決して離すまいとしていた手を、オレはとうとう離してしまったんだ。
本当は、ずっと繋いでおきたかったけれど、できなかった。
ポップを死なせるぐらいなら、その方がマシだったんだ、なんて。



強がりもイイとこだ。















広く昏い世界で、たった一人ぼっち。
見知った顔が誰もいないことなんて、大した問題じゃない。
でも。
アイツがいない、それだけが……こんなにも、苦しい。





ポップ。
あの約束はまだ、生きてるかな。
今のオレの、たったひとつの希望の光。
いつか必ず、オレはそこに辿り着いてみせるよ。
ポップと約束をした、あの場所へ。





今はそれだけが、オレをこの世界に繋ぎ止めているんだ。








<終>



※必ず行くよ、その場所へ。