じゃあ、約束な? < Requiem 〜ボクからキミへ〜 > ロン・ベルクさんが作ってくれたオレの剣は、とても不思議だ。 剣の柄につけられている宝石が、オレと繋がってるんだって、言った。 最初はその意味がよく分からなかったけど、その剣を手にしている内に 少しずつ、分かってきたことがある。 たとえその場に剣がなくても、オレにはその剣が何処にあるのか 何となく分かってしまうんだ。 オレに向かって剣が、ここにいるよって、呼び続けてるようなカンジ。 ためしにポップにオレの剣を何処かに隠してもらった。 でも、オレにはすぐにその場所が分かっちゃうんだ。 剣が呼んでるんだから、そこに向かえば簡単なこと。 2、3回それを試した後に、ポップはオレにこう言ったんだ。 「こりゃあ、いい目印になるな」って。 これがあれば、例えば何かの拍子にオレとポップが離れ離れになっても、 剣を頼りに合流することができるって。 だけどそれ、ポップがこの剣を探し出せなかったら意味ないんじゃないのかな? そう思ってオレが訊ねたら、何故だかポップはふふんって胸を反らして言うんだ。 だったら、今度はソレをお前が隠してみろ、って。 探すのはもちろんポップだ。 できるわけがないよ、オレがこの剣を探せるのは、この剣とオレが繋がってるからだし。 でも……オレはもうひとつ重要なことを思い出した。 ポップは、やると言ったら絶対にやってみせるヤツだってこと。 奇跡だって何だって、ポップならきっと起こしてしまえる。 オレは少し考えて、剣をオレしか知らない秘密の場所に隠してきた。 わざわざルーラでデルムリン島まで行ったんだよ。 そうしてまた戻ってきて、待ってたポップに「もういいよ」って告げる。 するとポップは、オレの知らない初めての魔法を口にした。 後で聞いたんだけど、レミラーマっていう魔法。 淡いグリーンの輝きを身に纏ったポップが、少ししてから呟いた。 なんだ、そんなトコかよ。 しょうがないって顔で笑って、面倒だけど取ってくると言ってルーラを唱えた。 オレはそんなポップが残した魔法の光の軌跡を、呆然と見上げるしかなかったんだ。 デルムリン島にはポップだってルーラで行ける。 でも、隠した場所はポップは絶対に分からないはず。 向かった方角は、デルムリン島の方で合っていた。 またポップは、簡単に奇跡を起こしてしまうのか。 オレの剣を抱えて戻って来たポップは、重てぇんだよ!って怒鳴ってオレに剣を 放り投げてきた。 ビックリするしか無かったオレに、これで分かったろ?なんて笑って。 どうやらオレにしか分からないと思っていた剣の所在は、ポップにも分かるらしい。 なんでこんなこと出来るようになったんだろう。 どんどんポップはオレの知らない魔法を覚えていく。 訊いたらこのレミラーマって魔法、以前オレが氷山に埋まってしまったことの後に 二度とあんな事がないように、せめていつも持っている剣を頼りに探し出せるように、 そう思って覚えたんだって。 ………オレの、ために? 例えば、何かでオレとお前が離れ離れになってしまっても。 この剣があれば、必ずオレ達は再び出会える。 オレの傍でも、お前の傍でも、そのどちらでも無い時だって、 剣のある場所が、オレ達の集合場所なんだ。 じゃあ、約束な? そう言って笑うポップは、ほんの少し照れ臭そうで、優しかった。 <終> ※ボクらの場所。約束の、場所。 |
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