<日常的に割とよくあると思われる風景>

 

 

 

 

 

「この馬鹿者が!!」
バン!机を叩いて怒鳴るのは綱手である。
だがその対象となっているのは下忍の子供達ではない。
「お前達は昔っからそうだ。
 上忍である前にいい歳をした大人が、未だにその自覚も持てないのか!!」
「いや、だからそれはガイが…」
「何度も言うが俺のせいにするな、カカシ!!
 大体だな…」
「どっちだっていい!!」
もう一度綱手が机を殴り付けて怒鳴ると、2人は揃って肩を竦めた。
よく見れば机の上が拳の形に陥没している。
それを向けられたのが自分でなくて良かったと、2人は同時に思った。
「とにかく、だな」
そうすることで少しは気が済んだのか、綱手は心持ち落ち着いた声音で続ける。
「お前達が喧嘩をするたびに周囲への被害が甚大なのは、まず自覚しろ」
「被害って…」
「俺達は何も…」
「シズネ」
口々に言い訳をしようとした二人だったが、綱手のひと睨みで沈黙する。
呼ばれたシズネは心得たとばかりに、手元の資料へ目を向けて口を開いた。

 

「演習場の溜め池、アカデミーの屋上テラスのベンチ、公園の噴水の縁に、
 上忍待機所の長机と屋根…これが今週分の被害ですね。
 それ以前のものも含めますと…」

 

「わかった、もういい」
はぁ、と重苦しいため息を零して、綱手はシズネの言葉をそこで止めた。
聞くだけ頭が痛くなるだけだ。
「わかるか、これがお前達が好き勝手に暴れ回った結果だ。
 喧嘩するのはお前達の勝手だが、木ノ葉の公共物を破壊しているとあっては
 見過ごせん」
「ちょ、ちょっと待って下さいよ!
 公園の噴水はガイが勝手に…!!」
「なんだと!?
 それを言うなら演習場のアレは、カカシが後先顧みず水遁の術なんか
 ぶっ放すから…!!」
「やかましい!!」
ガン!と乱暴に椅子を蹴ると、綱手はずかずかと2人の元へと詰め寄り、
その両の手でぐいと胸倉を掴み上げた。
綱手の怪力あればこその芸当だが、大の男2人を持ち上げるその姿はさながら
仁王像のように見える。
「どっちが悪いかなんて決めるつもりは毛頭ない。
 昔からよく言うだろう、喧嘩両成敗、とな?」
ニヤリと笑う綱手に二の句が告げられないカカシとガイ。
すっかり萎縮した二人の顔を交互に見やって、綱手は名案を思いついたように、
離した手をポンと打った。
「悪さをしたクソガキには、相応の罰を与えないといけないねぇ…?」
弁解を許さない視線のままで言う綱手を見て、従う以外の方法は無いのだと
二人は思い知らされたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

アカデミーの屋上にあるテラスで、綱手は満足げにパンパンと両手をはたく。
「あーすっきりした。
 お前達はそこで少し反省してろ」

「「 …………。 」」

簀巻きで逆さ吊りにされた状態のまま、カカシとガイは顔を見合わせた。
高さはテラスにいる綱手と同じぐらいで、尚且つ鎖で厳重にぐるぐる巻きだ。
これでは流石に逃げようがない。
「……困ったねぇ、どうするガイ?」
「どうもこうも……」
高らかに笑いながら去って行く綱手の背中を見る限りでは、謝り倒したところで
恩情など与えられるとは思えない。
「まぁ、これも修行だと思うことにしようじゃないか、なぁカカシ」
「出たよ……修行バカ」
「なんだとッ!?」

 

『煩いッ!!』

 

遠くから綱手の怒鳴り声がしたかと思うと、2人の間をクナイが飛んでいく。
思わず冷や汗を浮かべて、カカシとガイは口を噤んだ。
「……俺たち、いつか綱手様に殺されるんじゃないか?」
「あながち有り得ない話じゃないな……」
ぼそぼそとそう言葉を交わし合うと、今は大人しくしていた方が賢明だと
悟った2人は、暫く黙って吊られていることにした。

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 

そして、そんな2人の姿はアカデミーの校庭から丸見えだったりする。
もちろん傍にある上忍待機所からもよく見える。

 

 

アカデミーの校庭では、

「イルカ先生!アレなにー?」
「なにって………うわ何だアレッ!?
 ははぁ……あの人達とうとう火影様の逆鱗に触れたな……」
「木ノ葉の額当てしてるみたいなんだなコレ」
「あー…アレはだなぁ、一応、木ノ葉の忍なんだが……そうだな、
 忍の中でも悪い見本だ。
 真面目にしていないと、お前達もあんな風にされちゃうからな、
 気をつけるんだぞ?」
「はーい」

教師と生徒の間でそんな会話がなされ。

 

 

また上忍待機所では、

「ねぇ、あれってカカシとガイじゃない?」
「あ?…………あいつら何やってんだ……恥ずかしい奴らだなー」
「ま、仲が宜しくて良いんじゃない?」
「いつもの事だ、放っておくか」

助けようという素振りなど微塵も見られることなく、
薄情にもその窓は閉じられてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

<終わっとけ>

 

 

 

 

 

あー楽しかった。(私が)

 

限りなく自己満足ですいません。
こんな話、誰が喜ぶというのだ。私が喜ぶだけだ。

カカシはガイと一緒にいると悪さばっかりしてると思います。
ガキの頃からずっとそうだったから、その延長でみたいなカンジかな。
任務以外ではあまり真面目じゃないといいなぁ。ガイもだけど。

子供達の見てないところで、カカシとガイはよく自分達より年上の人達に
怒られてるんじゃないかなというか、怒られてるといいなという希望。
綱手でも自来也でもいいし、この際ヒアシ様とかいのいちさんとかでも
いいじゃない。(じゃないってアンタ…)
大暴れして花屋の玄関先に置いてあったバケツひっくり返しちゃったりして
いのいちさんにガミガミ怒られてるといい。そして2人で掃除させられてると
なおいいんじゃないかとか思ってみたり。
そんな姿を時々いのちゃんが目撃しちゃうんだよ。(何故いの…?)

…私はどこまで行く気なんだろう?(ふと我に返ってみる)