約束の朝、いつも修行しているその場所に自分達の上司が一番に来ていて、
サスケは顔には出さず、サクラは顔に出てしまったが、そしてナルトは
大声を上げて驚いていた。

 

「なんでカカシ先生が一番なんだってばよーーー!!」

 

 

 

< The lodging together story. >

 

 

 

 

 

ちゃんと時間は確認してきたので、自分達が遅刻したわけではない筈だ、と
サクラは理解している。
だから自分達が遅いのではない、カカシが早かったのだ。
「ちゃんと起きれたんだ、すっげー!!」
「ありえないな」
「明日は雨ね……絶対!!」
「……なんか、えらい言われようなんですけど、俺?」
「お前は一度、日頃の行いを振り返ってみるべきだと思うがな」
「ありゃ?激眉先生じゃん」
丸太の上につま先だけで座りながら本に視線を向けたままで理不尽だと呟く
カカシの隣で、同じようにしているのはガイだった。
「何してんだってばよ?」
「ああ……いや、俺はコイツにちょっとした用でな。
 リー達も待っているし、もう行くが。
 それじゃあ、また後でな!!」
グッと親指を立ててガイはそう子供達へ笑いかけると、その場から消えてしまった。
「え、なに今の不吉な言葉……また後があるっての…!?」
「あー…イイとこ突くねぇ、サクラ」
パタンと本を閉じて腰のポーチにしまうと、カカシが丸太の上から飛び降りて
懐から一枚の紙切れを取り出した。
はーい、注目〜!という言葉に3人の目がその紙へと向けられる。

 

「合宿、することになったんで」

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 

よくよく聞いてみれば、合宿とは名ばかりの合同演習みたいなものだ。
これから3日間、ガイが率いる3人と共に一ヶ所で修行をする。
泊り込みになるので、もちろん修行だけでなく寝食を共にすることに
なるのだが。
「へぇ…でもまた、なんで?」
それなりにガイのチームとは縁があるので、特に行動を共にする事を不思議とは
思わないが、それにしたって話が急だ。
カカシの説明を聞きながら首を傾げて問うサクラに、カカシは何でも
ないような表情で。

 

「え、だってその方がラクだし」

 

そんな風に答えてくれた。
「ラクって……あのね」
「まぁまぁ、コレも結構利点あんのよ?
 俺もガイも、当然ながら得手不得手ってのがあるから、
 お互いの苦手要素を補えるし、3人が6人に増えることで
 できる修行方法だってあるし、ね」
こと忍術幻術においてはどう考えてもカカシの方が上であるし、
だが体術という点についてはガイの方に分がある。
元々は、自分の苦手分野をどのように鍛えていけば良いかという
ガイの言葉から発展した話なのだが、悪くない考えだと思っていた。
「とりあえず今から合宿所まで行って、その後早速修行だから。
 ま、頑張れよ?」
「な……なんだよ、頑張れよって……」
やはり良い予感がしていないのだろうサスケの言葉に、カカシが
うんと頷いた。
「あー…、部下トレードってことになってるから」
「はぁ!?なんだよそれ!!」
「うん、とにかく今日は体術をみっちり鍛えてもらえよ?」
「いやあああ!!暑苦しいーーーーー!!」
思わず悲鳴を上げたサクラを見遣りながら、さぁ行くぞ、とカカシは
立ち上がった。
あのガイのことだ、もう現地へ移動しているだろう。
ふと、さっきから黙ったままで静かなナルトへと視線を向けると、
なにやらワクワクした表情で、もう前しか見えていないようだ。

 

 ………ま、やる気があるってのは、なによりだ。

 

納得してないサスケと嫌がっているサクラを尻目に、カカシはそう考えて
僅かに笑みを覗かせた。

 

 

 

 

 

 

<NEXT:修行風景>

 

 

 

 

 

 

すごい気の抜けた話が書きたくて、なんとなく書き始めてみました。
皆でワイワイやってるのが好きなところが、テニスへの思いと少し似てます。
多分あと2〜3本書いたら気が済む予定なんで、ヨロシクお願いします。(笑)

大人2人と子供6人の、愉快な3日間。(でも多分3日分も書かないと…/爆)