誰が言ったか忘れたけれど、覚えている言葉がある。
本当に対等な立場に立っている人間というのは、数えるほどしかいないのだ、と。
向こうの通りから、アイツが歩いてくるのが目に入った。
どうやら下忍の子供達も一緒のようで、3人の子供達が傍に居る。
だけどそれはこちらも状況は一緒で、珍しいタイミングだ。
数歩歩いて、向こうも気付いたようだ。
ふと顔を上げて、視線を掠め合わせて、
その目がふと、優しく和らいだような気が、して。
交わす言葉は無かったし、必要もなかった。
ただ俺達は、それだけで、それだけで充分だから。
すれ違う際に少しだけ苦笑が零れたが、
あとはお互い大通りの喧騒に紛れ、姿と気配はすぐに分からなくなった。
対等な立場っていうのは、こういう事なのだろう。