カカシが姿を消した。
と、いうのは少し語弊があるが、聞けばアイツも下忍の子を
受け持ったということらしい。
俺が上忍待機所へ行けばいつでもアイツがいたから、
姿の無いこの空間が、少し、不思議だ。
「…………つまらん。」
手摺に背を預けて、身を乗り出すようにして屋根の向こうの
青空を眺める。
どう言い表せばいいか、この、物足りなさを。
「何してんの?」
突然ひょいと屋根から顔を覗かせたのは、今まさに
その姿を求めていたものの筈なのに、それなのに、俺は。
「……カカシ、」
「危ないぞ、そんなコトしてると」
「お前こそ、何……しにきたんだ」
「うん?そうだなぁ………充電?」
「?」
あんなイキのいい奴らの相手、ずっとしてると疲れるんだよ。
そう言いながら窓から飛び込んできて、
俺をソファに座らせると、カカシもその隣に腰掛けた。
「だから、充電ね。」
コイツの言う充電の意味がよく分からなかったが、ひとつだけ分かった。
今この姿を求めていたのは、紛れもなく俺の方であったのだ、と。
この感情は、何と呼ぶのだろう?