夕焼けの散歩道、足音が2つ。
勝負を挑んでまた負けて、出したカカシの条件がこれだ。
意味がわからない。
「おいカカシ、いつまでこうやっている気だ?」
「さて、いつまでがいい?」
目的も無く、行き先も言わず、ただ俺を隣に置いてカカシは歩く。
しかも本を読みながらときたもんだ。
どう見ても本に熱中しているようにしか見えないのに、
なのに不思議と俺が足を止めれば、カカシは3歩先で足を止めて俺を見るんだ。
「何してんの、ガイ」
「それは俺のセリフだ。
だから一体何がしたいんだ」
「別に?」
ほら、と手を伸ばしてきて腕を引っ張られ、また俺は足を動かすハメになる。
まったくワケがわからない。
いい加減に腹も立ってきたところで、ポツリと声が耳に入ってきた。
「ガイと、歩きたかっただけだよ」
その一言だけで今までの苛々した気分が吹っ飛んでしまったのが、
どうしてなのか俺自身でも理解できなかった。
だが、お前と歩けたことを、俺は嬉しく思う。