「ガーイ」

「ぉわッ!?」

 

 

懲りずにまたカカシの奴は気配を消したままで
後ろから飛び掛ってくる。
カカシの気配に気付けない自分の未熟さにはため息が漏れるが、
仕方が無い、これが俺とコイツの差なんだ。

 

 

「…………カカシ?」

 

 

いつもはすぐに離れるのに、どうした事か今日のコイツは
声をかけても身体を振っても一向に離れる素振りが無い。
なにか、おかしい。

 

 

「どうしたんだ…?」

「………夜が、来る」

 

 

来るも何も、もう日が暮れて随分経つし、外は既に闇の中だ。
だけど俺には分かっている。
カカシのその、言葉の意味を。

 

 

「………夜か」

「夜だな」

 

 

だからもう少しこのままで頼むよ、と言ってくるカカシに、
どこか無性にもどかしい気持ちにさせられた。
闇を払ってやれない、それも俺の未熟さ。

 

 

 

 

 

 

だからせめて、後ろは振り返らない。

そうだ、今の俺は、そんな事ぐらいしかしてやれないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当は、正面向いて抱き締めてやれたら。