抜き足は得意だ。
気配を消すのだって、お手のものだ。

 

だから、気付かれる筈は無いんだ。

 

 

「ガーイ!」

「ぅわッ!?」

 

 

抜き足は得意だ。
気配を消すのだって、お手のものだ。

 

だからいつも、俺が後ろから飛びつけばコイツはとても驚くんだ。

 

 

「……お、お前…ッ、カカシ!?」

「はは、ビックリした?」

「ビックリなんてモンじゃない。
 大体、どうして気配を消す必要があるんだ」

 

 

呆れたように問い掛けてくる声。
そうか、コイツは知らないんだっけ。

 

 

「………なに、正面から堂々と抱きつかせてくれるワケ?」

「誰もそういう話はしとらん」

「なーんだ」

「待て、その反応はなんかおかしくないか?」

 

 

まあいいや。
どっちにしたって俺はソレをやめるつもりは無い。

 

 

触れた瞬間の温かさと、驚いた表情の後の、
俺の姿を見てホッと気を緩ませる、その顔とが。

 

 

どれだけ俺を安心させるかなんて、きっとガイはこれっぽっちも知らないんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから俺は、絶対にコイツを手離したりできないんだよ。