早朝、道には白く霜が下りていて、踏むたびにざくざくと音がする。
吐く息まで真っ白で、こんな朝早くに出かける人間もあまりいないのか
通りに人の気配は無い。
そんな早朝にどうして外に居るのかといえば、これから任務に出るため、
たったそれだけの当たり前の事だ。
アカデミーを出て忍となり、そんな当たり前の事を、もう当たり前となった
顔ぶれで、当たり前のようにこなしていく。
だからもう、アイツの存在が傍にあるのも、当たり前のことなんだ。
待ち合わせの場所でぼんやり立っていると、ふいに後ろから肩を叩かれた。
振り返らずとも、この目で確かめずとも、もう分かっている。
この、やわらかな空気で。
おはようございます。そう言ってアイツは笑っていた。
だから俺もおはよう、と告げて。
この優しい空気を、少しだけ変えてみたいと思ったのは、ほんの気まぐれだ。
言葉と一緒に唇を合わせたら、大きな目が更に丸くなって。
見る間に顔が真っ赤になっていくのがよく分かった。
本当に分かり易い奴なんだ、見ていて飽きない。
少ししてやって来たガイやテンテンがリーを見て不思議そうな顔を
していたが、結局リーは何も言わなかった。
ほんの少しでいい、伝わったなら。