耳を劈くような、蝉の鳴き声。
うだるような暑さの中でも涼しげな顔のネジ。
その向かいに立つのは、僕。
眩暈のするような暑さ。
真っ直ぐに射抜くような、彼の目。
そして、その口が紡いだ言葉。
あまりにもネジが真剣な顔をしていたから、
僕の聞き間違いでしょうか、なんて返すこともできなくて。
俯いた僕に、ネジがもう一度だけ、同じ言葉を言った。
本当でしょうか?
本当なんでしょうか?
好きだ、なんてそんな、言葉。
ダメです、思考が纏まりません。
蝉が……とても五月蝿いから。
だけどどれだけ五月蝿くても、キミの声だけはちゃんと、聞こえた。