<The long long story which begins from here.>
「………どうにも、怪しいな」
「狙いは割とハッキリしていると思うが……しかし、それにしたって
味方を犠牲にするとは…」
「それがヤツらのやり方ってわけだろう」
ナルトを捕えてから何度か話を聞き、少しずつ背景の状況がカカシとガイにも
飲み込めていた。
ナルト達が突如受けた襲撃を木ノ葉の仕業と称し、対木ノ葉の意識を音隠れの
里中に広がらせる。
だが、それは里上層部…もしくは暁の策略で、実際は自作自演の出来事。
それを何らかのいきさつがあって、ナルトともう一人、サスケという少年が
知ってしまい、逆に仲間から命を狙われることとなった。
何とか逃げ出したは良いが、更に後を追われ、上流の滝へと追い込まれた2人は
一か八かの賭けに出る。
つまり、滝へと飛び込むという賭けだ。
最終的に命を拾ったナルトは賭けに勝ったと言って良いだろう。
残念ながら、サスケの行方は依然として知れない。
「ナルトの言葉を信じて良いと思うか?ガイ」
「……正直、それは分からん」
どれもこれもナルトの話を得ての推測だ、決定打がない。
この推測で動くということは、ナルトの言葉を全面的に信用するということだ。
万が一、ナルトが敵軍のスパイで、この話そのものが計略の内であったとしたら、
こちらから動くのはあまり賢い選択とは言えないだろう。
逆に返り討ちにあう可能性だって十分に有り得るのだ。
「…ま、嘘の得意そうな奴には見えないけどね」
「こちらから動くのは止めた方が良いだろうな。
もう少し……確実性のある情報が欲しいところだ」
「同感だな」
部屋の一室で一連の状況を纏めるべく顔を合わせた2人は、そういう結論に
達して揃ってため息をついた。
現状、ナルトからこれ以上の情報は期待できない。
貴重な情報源といえば、あとはサスケの存在があるのだが、彼は彼で
何処へいったかも分からないのだから、もうお手上げだ。
「なぁ……ガイ、もし今…その状況を機に向こうが攻めてきたら
俺達はどうするべきだ?」
何気なく呟かれたカカシの言葉、しかしそれに返事は得られなかった。
牢の鍵を開けて、外からひょこりと顔を覗かせたのは、先ほどガイに
紹介された目の大きな痩身の少年だった。
「あ……えっと、ゲジマユ!!」
「なんでですか!!
さっきガイ先生が紹介して下さったじゃないですか!!
僕の名前はロック・リーです、覚えてください!!」
「おー、了解だってばよ、ゲジマユ!!」
「………もういいです…」
諦めたように肩を落とすと、気を取り直してリーは数枚の毛布を手に
中に入ってきた。
牢の隅にそれを置くと、上に枕をひとつ。
「此処は夜になると冷えますから、少し多めに毛布を持ってきました。
あったかくして、風邪ひかないようにして下さいね」
「え、……イイのか?」
「なにがですか?」
「だって俺、捕虜なんだろ?」
「それは建前ですよ、先生達の」
「へ?」
「君の正体を知った以上、此処に連れて来るには理由が必要です。
ただ行き倒れていた人を助けるのと事情が違いますからね」
苦笑を浮かべてそう言うと、隅っこで不貞腐れたように座り込むナルトの
向かいに腰を下ろした。
「カカシ先生はどうか分かりませんけど…ガイ先生は此処に入れておく
事も本当はしたくないんだと思いますよ。
一応、昼間はこの砦から出て行く事さえしなければ、自由にして
構わないと言われましたので、此処から出ても構いませんし、
朝になれば牢の鍵を僕がまた開けに来ますからね」
「えらく余裕だな、ゲジマユ」
「はい?」
「此処で俺がお前を倒して、逃げちまうとかは考えねーんだ?」
「……ああ、」
ちょこんと正座をしたままのリーが、ナルトの言葉に少し考えるようにしてから
ひとつ頷いてにこりと笑う。
「大丈夫ですよ、ナルトくんはそんな事するようなタイプには見えませんし。
それに、例えそうでなかったとしても、全く問題はありません」
「へぇ…?」
ならば、と懐に隠し持っていたクナイを手にナルトがリーへと飛びかかる。
しかしそれは、一瞬で決まった。
「う、わっ!?」
クナイを持っていた右手を軸に、ぐるりと体が一回転したかと思うと
気がつけば視界に映っていたのは天井。
「いってぇ〜……」
「ほらね、大丈夫だと言ったでしょう?」
頭を擦りながら起き上ったナルトを眺めて、リーはにっこりと人好きのする
笑みを浮かべる。
手を貸してナルトを立たせると、取り上げたクナイをくるりと指で回しながら
リーは牢の扉に手をかけた。
「僕を倒そうと思ったら、もっともっと修行が必要ですよ、ナルトくん。
まぁ、ナルトくんが修行を重ねて強くなった頃には、僕も更に修行して
もっともっと強くなってますけどね」
「……くっそ、今に見てろよゲジマユ!!
俺は負けねー!!」
「いつでも受けて立ちます!!」
意気込んで言うナルトに親指を立ててそう言い返すと、リーはぺこりと
頭を下げて、牢の扉を閉めた。
「おやすみなさい、ナルトくん」
<続>
リーとナルトはポールと主人公のようなポジション。
ナルトの面倒を見るのを任されてる、みたいな。
まぁ、リーはポールと違って死なせたりしませんけどね。
こうやってアレンジを入れられるのがパロディの良いトコロですvv
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